蝙蝠庵

2015/和歌山市/和歌山県/日本
施主の叔母が残した築70 年の住宅。
叔母が茶道教室を行うために購入した建物(旧棟)に、程なく住居としても使えるように新棟を増築した木造平屋建の住宅である。
長らく荷物置き場として放置されていた住宅は、施主が譲り受けたときには、損傷が激しく居住することが出来ない状態にあった。施主が荷物の整理を行い閉ざされた雨戸を開くと蝙蝠の明窓から射す光が広縁を照らし開放感のある座敷が現れた。贅沢な造りの付書院と床の間、遊び心のある書院造りである。
取壊して新築を建てるべきか、リノベーションを行うか、現場考察での判断が求められた。新築よりも費用や時間、手間がかかることを説明した上で、それでも施主の「のこしたい」という想いがある。
施主の想いを尊重し、単に復元するのではなく古い空間と新しい空間が出会う場として「蝙蝠庵」と名付け、新築では体験できない「のこす価値」を提案した。

160127_koumori-an_02160127_koumori-an_03160127_koumori-an_04160127_koumori-an_05160127_koumori-an_06160127_koumori-an_07160127_koumori-an_08160127_koumori-an_09160127_koumori-an_10160127_koumori-an_11160127_koumori-an_12160127_koumori-an_13160127_koumori-an_14160127_koumori-an_15160127_koumori-an_16
Photography by Sohei Terui